今月のベアフット
9月のこどもたち
夏休みは終わったものの、いつまでも酷暑が続く夏の日が依然続いています。
雨も降らないので草木はげんなりして紅葉前に葉がカサカサと舞い落ちています。
でもさすがに天気も気が咎めたのか、ここにきて朝の風は涼やかで、鳥やセミ、虫たちの声も元気をとりもどしたように聞こえます。
子どもたちは、この暑さにもめげず意気込んで幼稚園に登園しています。
そして森に入って行ってはセミの抜け殻を捜しまわったり、枝ごと落とされたドングリの実を拾い集めたりしています。
先日はクワガタが迷子になっているのを見つけ、歓喜した子どもたちは宝物のように大切に育てています。
夏から秋への移ろいの時、子どもたちは活気に満ち溢れています。
先日、ご家庭からの連絡帳にとても傑作な事を書いてくださいました。
幼稚園から帰ってきたHくん「今日はダイコンゲームがとってもおもしろかったよ」といいました。
お母様は「ダイコンゲーム? はて何だろう」と思いました。
いろいろ話しているうちに「それってデンゴン(伝言)ゲームのことか・・・な?」と気が付かれたそうです。
そうなんです。その日は年中組でみんなで伝言ゲームをしたのです。
゛ダイコンゲーム゛とはおもしろい。こどもって自分の世界の中で獲得していることばを総動員して聞き取り想像して創造できる大家です。
子どもって大人が思いもしないことをいいますよね。
以前、年長組で「雲の中には何があるか」という話になった時、Tくんが「いとが入っている」といいました。
「いと?なんだろう?」と考えていると、Sさんが「Tくん、それは虫のクモのことでしょう。今話してるのは空のクモのことだよ」といったので「ああ そうか。Tくんは蜘蛛を想像してお腹の中に糸が入っているということを考えたんだな」とかわいくなりました。
これはもう20年以上前のことですけれども、昨日のことのようによく覚えています。
保育日誌の裏側に記録しておいた、そんな子どものことばを読んでは一人で時折にんまりしています。
その時のクラスの雰囲気や子どもの表情、声などがそのまま思い出されるのも不思議です。
もうひとつ、「食べ物の中で何が一番好きか」という話をしていた時に、Kくんが「ママのケムクジャラが好き」といいました。
ママのケムクジャラ????何だろう?
「そのケムクジャラの中には何が入っていますか」とききましたら「ジャガイモとお肉、ニンジンも入っているな」というので、ひょっとしてそれは゛肉ジャガ゛のことか!と合点がいきました。
語彙が爆発的に増えるこの時期、子どもたちはあらんかぎりの知恵を使ってことばを自分のものにしていきます。
これらのことばの置違えや意味の取り違えなども試行錯誤しながら成長しようとしている子どもの軌跡だと思います。
記憶にも残らないだろう、その時だけの屈託ない育ちの姿。
お家でもお子さんの「ひとこと」を家計簿の隅にでも書き留めておくと、それは何年たっても色褪せない思い出になるのではないでしょうか。宝物になりますよ。