おいしいもの つくろう


岸田衿子 さく

白根美代子 え

 

福音館書店



おがわのそばにあらいぐまの家。

そのとなりにうさぎの家族の家。

どっちのお家もお料理上手。

朝からおいしそうなメニューが並びます。

あらいぐまの家では ほかほかの ぱっくりドック。

うさぎの家ではふわふわ、まぜこぜの オムレツ、オムレツ・フラメンコ。

お昼はみんなで遠足に行きましょう。

おべんとうは おむすびを作ってそれをふりかけにごりんごろりんころがすと

ほら おむすびごろりん できあがり。

途中の牛さんの畑で野菜をたっぷりもらいました。

川辺でみんなでお料理 お料理。

みんなだいすき サラダじま のできあがり。

さぁ おべんとう。

おいしいね。

帰り道で 晩ごはんの相談。

今日は一緒に食べましょう。

うさぎは、あんず、きいちご、バナナ、を牛乳で固めた かじゅえんゼリーとじゃがいもピザを作りました。

あらいぐまは、スープでことこと煮込んだ たのしみどうふ と なんでもおじや。

さぁ みんな集まって にぎやかな ばんごはん。

今日も おいしかったね。きょうも無事でなにより なにより。


この絵本は、ストーリーは単純でシンプルなのですが、よく見ていくとなんと読みでのある本かと思ってしまいます。
画面ごと 登場人物をみていくとみんなそれぞれ忙しくまた思いのままに動いていますし、食べ物もお料理されたがっているかのように実にいきいきと細部にわたって描かれています。
ことばも ころがっていくように リズミカルでまるで歌っているよう。
そして、お料理の順序も実に分かりやすい。
今すぐ自分にもできてしまいそうな、いえ、自分がしているような思いにさせられます。
そして、そのお料理の香りや色合い、味までわかっちゃうような気になってきます。
しかし、そのお料理の実に本格的なこと。
インスタント食品なんてひとつも出てきません。
ふりかけだって手作りなんです。
そして、しばらく見ていくと、突如としておなかが空いてきて「あぁ、食べたい!」おもわず叫んでしまいそうになるのです。
これは、子ども用に作ったお料理の本ではないように思います。
これは絶対、おかあさんが子どもにきちんとお料理をして食べさせている本です。それも子どもと一緒に。楽しみながら。
作者の岸田衿子さんは、きっとそんなお子さんとの生活をされていたのだと思います。
子どもは、こんなお料理の絵本を読んでいくなかで、食べることの楽しさや、お料理することの豊かさを感じていかれるのではないかと思います。
そしてそこには、自分だけではなくおいしさを一緒に共有できる、家族がいて、仲間がいるということが大事なのだということに気づいていくことだろうと思います。

2020年12月15日