ぞうくんのおおかぜさんぽ


なかのひろたか さく・え

福音館書店

 

おおかぜの日、ごきげんぞうくんは散歩にでかけます。

かばくんがころがってきました。

風がつよくてころがっちゃったのです。

ぞうくんが散歩に誘うと「押してくれるならいいよ」

ぞうくんがかばくんを押していくと、わにくんもころがってきましたよ。

みんなで大風のなかを散歩です。

ぞうくんがかばくんとわにくんを押して歩きます。

するとかめくんが「とめて、とめて」といいながらころがってきました。

どっこいしょ とうけとめた途端  みんな

ごろん ごろん ごろん   どっぼーん と池のなかにおっこちちゃった。

池の中はごきげん、みんなごきげん。

そとは大風。


こどもたちが大好きなぞうくんのおさんぽの第3弾です。
月刊こどものともの4月号がこのお話です。
作者の なかのひろたかさんは、最初の「ぞうくんのさんぽ」を、こどものとも147号として、1968年に発表しました。
そのデザイン性ときれいな色使い、そして、絵本の手本としてのお話のシンプル性とその運びはたくさんのこどもたちに支持されてロングセラーとなりました。
それから36年後の2004年、こどものとも第577号で、第2弾「ぞうくんのあめふりさんぽ」を発表、そして、この2006年に「ぞうくんのおおかぜさんぽ」を描きました。
1冊目と2冊目の間が36年の歳月を隔てたにもかかわらず、2冊目と3冊目はわずか2年の間隔で出版されています。何か意味ありげ。
ファンにはうれしいことですが、このあたりの事情をぜひうかがってみたいものです。
それはともかく、ぞうくんは今日もご機嫌。
このぞうくんの完璧ともいうべき容姿の美しさ、一目みただけでぞうくんの性格や声まで想像できちゃいます。
そして、次々に現れる動物たちの色と形のバランス、素敵ですね。
話は単純で、親亀の背中に小亀が乗って、というあれと同じです。
最後に一番小さい亀の登場でいつも話が大転回。
本当に繰り返しと進行が小気味よく展開します。
第1弾の「ぞうくんのさんぽ」は、そのまま ”親亀の背中”でだんだんに小さい動物が縦線になって話が展開しますが、それが「あめふりさんぽ」では逆転します。
そして、今回の「おおかぜさんぽ」では横並びの線になるという裏技も見逃せません。
ぞうぞ、ではなかった「どうぞ」お楽しみください。

2020年12月24日