ピッキーとポッキー


ぶん・あらしやま こうざぶろう

え・あんざい みずまる

福音館書店

 

朝、うさぎのピッキーとポッキーが、くすの木の根っこのお家で目を覚ましました。

さぁ今日はお花見にでかける日です。

おとなりでねぼうをしているもぐらのふぅちゃんにも声をかけました。

ふぅちゃんは「おべんとうを作らなくっちゃ」といいました。

3人の作ったおべんとうのおいしそうなこと。いっぱいいっぱい作りました。

さぁ出発。

菜の花畑を通り、れんげ畑でお花摘みをし、川を飛び越えたあたりで、ふぅちゃんはおなかがすいておむすびを出してばくりと一口たべていると、

近くの土がむくむくとあいて、さくらやまにすんでいるふぅちゃんのおばあちゃんが顔を出しました。

「そろそろ来るころだと待っていましたよ」

おばあちゃんに案内されて、トンネルを抜けて階段を上ると、

まぁ、見事な桜の花のしたに友達がいっぱい集まって3人を待っていました。

さぁ、お花見の始まりです。

 

 

★ 春らしい一冊です。
シンプルな絵やお話ではありますが、その色彩やことばのリズムやお話のあたたかさがいつまでも印象に残っていて、お花見というとこの絵本を思い起こすのです。
この絵本はことばと絵がそれぞれの役目をきちんと果たしながらそれを互いに何倍にもふくらませ合っています。
お話の展開も新鮮で楽しく、子どもが好きになる本の要素をすべて兼ね備えているような絵本だと思います。
信州の春は遅く、その到来を待ちこがれる日々の中で、春の色や香り、あたたかさ明るさを思い描く時、不思議にこのピッキーとポッキーの桜の木の華やかなピンクとおいしそうなおべんとうが思い浮かんできます。
春がやってきた4月、思い切りその香りを吸い込み、色を吸収して喜びたいと思います。

2021年03月15日