子うさぎましろのお話

ぶん・ささき たづ
え・みよし せきや
ポプラ社
クリスマスがやってきました。北の国のどうぶつの子どもたちは一番先にサンタクロースのおじいさんからおくりものをもらいました。
子うさぎの「ましろ」も、おいしいお菓子と飾りをもらいました。
お菓子を食べ終わってしまった「ましろ」はもっとおくりものが欲しくなりました。
でも、サンタクロースのプレゼントは、どの子も一回だけということを知っていましたので、「ましろ」は自分の真っ白な体に炭をぬって違ううさぎになることにしました。
朝早く、おくりものを渡し終わったサンタクロースのおじいさんが帰って来るのを待って「ましろ」は、おくりものをせがみました。サンタクロースの袋の中にはちいさな種がひとつしか残っていませんでした。
それをもらった「ましろ」は、もとの姿にもどろうとしましたが…・・・…。
このものがたりは、毎年アドベントの間には必ず読んでもらったりお話できいたりしているお話です。
サンタクロースのおくりものをどんなに楽しみにしているか、それは「ましろ」も子どもたちもおんなじです。そして、できればもっと欲しいと思うのも同じです。
そんな思いを汲み取ってサンタクロースはおくりものはもうないけれどといいながら、小さい種をくれるのです。
でも正攻法でもらったものではないことを心の痛みとして気づいた「ましろ」が、その種を神様にお返ししようと思い立ち、自分の体を精一杯使って土に埋めるという行為を成就します。
そして、そのことを神様はよろこんでくださり、祝福をくださるのです。
その種から育ったもみの木には毎年、クリスマスになると次々におくりものがなり、たくさんの子どもたちにプレゼントできるようになった、というストーリーは子どもたちに尽きせぬ夢と希望を、そして「ましろ」が毎年サンタクロースのおじいさんのお手伝いをすることになったという結末は信頼の絆を与えてくれるのです。
クリスマスを通して、「ましろ」が精神を成熟させ、あるべき関係を知るという大変豊かなお話です。