ペレのあたらしいふく


エルサ・べスコフ さく・え

おのでら ゆりこ やく

福音館書店

 

「ペレはこひつじを1ぴきもっていました。そのこひつじを、ペレはじぶんでせわし、じぶんだけのものにしていました。
こひつじはそだち、ペレもやおおきくなりました。こひつじのけは、それはそれはながくなりましたが、ペレのうわぎは、みじかくなるばかりでした。」
そこでペレはひつじの毛を刈り、そのかりとった毛をもっておばあちゃんのところにいってすいてくれるように頼むと、にんじんばたけの草とりの仕事と交換にペレの毛をすいてくれました。それからペレはもうひとりのおばあちゃんにそれをつむいでもらい、ペンキやさんに染め粉をもらって染め、おかあさんに織ってもらい、したてやさんに服にしてもらいます。それぞれ仕事と交換で。
日曜の朝、ペレはあたらしい服を着て、こひつじに「あたらしいふくをありがとう」とみせにいきます。

 

エルサ・べスコフが1910年、自分の子どものために書いたといわれている絵本です。美しい絵には細部にわたって生活観がみちあふれ、ペレを取り囲む人々との豊かな交わりが臨場感あふれて描かれています。
こどもが大きくなる、成長するということは「ものごとがわかっていく」ということであると思います。
ペレは自分の着る服を自分の出来る限りの努力をしながら自分で作っていくのですが、そのなかで社会を知り、人との距離感をつかみ、感謝をし、労働の意味を知っていきます。
また、まわりの人々はそのペレの成長にふさわしい手助けをしていくのです。
子どもたちが大きくはばたこうとしているこの時、大人も子どもも読んでみたい絵本です。

2021年05月12日