ねずみのすもう


大川悦生・作

梅田俊作・絵

ポプラ社

 

ある日おじいさんが山にいってみると、ふとったねずみとやせたねずみがすもうをとっています。
何回やってもやせたねずみは放り投げられて負けてしまいます。
やせたねずみが住んでいる貧しい家のおじいさんとおばあさんはそれを見てかわいそうに思い、おもちをついてねずみに食べさせます。
やせたねずみはだんだん力がついてきて、ふとったねずみに互角に戦えるようになります。
不思議に思ったふとったねずみがその理由を聞いて、自分もそのおもちが食べたいとせがみます。
長者の家にいたふとったねずみは、黄金をおみやげにやせたねずみのところへやってきます。仲良くおもちを食べた二匹のねずみは、また力いっぱいすもうを始めました。

お正月にゆっくりと昔話をするように読んであげたい絵本です。昔話には体温があります。ほのぼのとした世界の中に、競う楽しさ、分かちあう喜び、ユーモラスな仲間意識が見え、また、そのねずみたちを見守るおじいさんおばあさんという大きな慈しみのまなざし、そんなものが子どもの世界とフィットして、心温まる時空をつくり出します。 

2021年05月17日