かにむかし

木下順二 文
清水 崑 絵
岩波書店
「さるかに合戦」といえばだれでも知っている昔話です。
この本はそのお話を再話した絵本です。
昔話は本来繰り返し口伝えで語られてきたものです。
そして聴いた者が語る者になり代々語り継がれていったものです。
ですから代々の語りのなかで物語が削がれていったり、違う話が入ったりいろいろに変化しながら個性的に受け継がれてきています。
この「かにむかし」の原話は佐渡の民話だそうですが、かなり昔から親しまれて語り継がれ、また木下氏らの努力などにより今では普遍性をもった昔話としてごく一般的に親しまれています。
この絵本の語り口のおおらかさ、ゆったりとした絵の奥深さはまさにひざのなかで昔話を聴いているような安らかさと想像力を与えてくれます。
秋の夜長、子どもと一緒にゆっくりと読んでみたい絵本です。