おおきなおおきなおいも


赤羽末吉 さく・え

福音館書店

 

あおぞらようちえんのおいもほり。
子どもたちがあんなに楽しみにしていたのに雨。「雨がふってはしかたありませんね。1週間のばしましょう」という先生のことばに「あ~あ」と残念がる子どもたち。

でも「だいじょうぶ。おいもはひとつねるとむくっとおおきくなって、2つねるとむくむくっとおおきくなって、3つ、4つ5つ6つ7つねるといっぱいおおきくなってまっていてくれるよ」という先生ことばに子どもたちの想像は限りなく広がっていって…。  

実際にあった保育の記録を赤羽さんが絵本にしました。

子どもたちの姿が無駄のない線描きで描かれ、全体を子どものリズミカルなことばで覆っています。

1回読んでもらった子はそのリズムのとりこになってしまって、何回も読んでとせがむでしょう。

そして、すぐにことばをうたのように空でおぼえてしまって、生活のなかでふっと口をついて出てきたりすることでしょう。

おいもという子どもにとって親しみやすい題材が、宇宙規模の空想の世界に誘ってくれるその展開は世代を超えて魅力的です。

子どもの楽しい空想と心情にじっくりと付き合い、その活動を支えている保育者に敬意を表します。

2021年09月28日