やさいのおにたいじ


つるたようこ 作
福音館書店

 

京の都に娘たちをさらう「こんにゃくいも」の鬼が現れました。

娘の「ひのなひめ」をさらわれた「しょうごいんかぶら」の命令で鬼退治に集まったのは「たけのこ」「まつたけ」「かもなす」「みずな」「きんときにんじん」「ほりかわごぼう」の面々。

鬼の棲む遠い東の山目指して進んでいきます。

途中で困っていた「ししがたにかぼちゃ」のおじいさんを助けると、鬼退治の役にたつだろうとひょうたんに入った酒をもらいました。

ようやく鬼の屋敷についた面々は、「やつがしら」の門番をうまくやりこめたり、手下のにんじんやごぼうを脅かしたり、どくきのこを眠らせたりしてようやく鬼の前に出ました。

「たけのこ」が「みやげにめずらしい酒をどうぞ」と勧めると、その酒は悪い者が飲むと力がなくなるという不思議な酒だったので、それを飲んだ鬼は、ついには大きなこんにゃく玉になってしまいました。

こうして6人の面々はひなのひめと娘たちをたすけて都に帰って行きました。

 

☆この絵本は「こどものとも」2月号です。配本をした次の日に、「おにの本、おもしろかったぁ」と言う声が聞こえてきました。年長のHさんは「いろんな野菜が出てきたよ。「たけのこ」「まつたけ」「かもなす」・・・・。」と全部覚えていましたし、Yくんは「やつがしら」って本当にあるの?」ときいてきました。「もう3回も読んでもらったからおぼえちゃった」とSちゃん。お昼ごはんのテーブルはその話しで盛り上がりました。

こんなにダイレクトに反応がある本も珍しい、余程おもしろかったのでしょう。

かくなる私も、この絵本を手にした時から、「何て美しい絵本なんだろう」「京野菜のオンパレード、おいしそう」と思ったほどイクパクトがありました。

「お伽草子の酒呑童子より」となっていますので、ストーリーは武勇談風ですが、それを野菜たちが演ずるとなんとまあ雅なこと。ユーモラスなこと。

子どもたちみんなに何回も読んであげました。

年中や年少の部屋でも読みました。子どもたち、おもしろがってもっともっとといいます。京都弁はようしゃべられへんのですが、でも雰囲気を出しながら読むと、子どもたち目を丸くして聞き入ってくれます。

京野菜、おいしそうです。

2020年06月15日