ぐりとぐらのおきゃくさま

なかがわりえこ と やまわきゆりこ
福音館書店
この絵本は、このホームページを始めた2000年12月に「1冊の絵本」第1号として紹介した絵本です。その頃パソコンの操作に四苦八苦だった私は、思いの丈を語りきることができず本当に簡単な紹介しかできませんでした。何ともお恥ずかしい限りです。
クリスマスの絵本というと古今東西、今昔、たくさんの名作がありますが、子どもに読んであげる絵本として私はこの「ぐりとぐらのおきゃくさま」を挙げます。
この絵本は1966年「こどものとも12月号」として出版配本されました。
それをさかのぼること3年、1963年「こどものとも12月号」で「ぐりとぐら」が配本され大人気となりました。のねずみのくりとぐらが森で大きな卵を見つけ、それをおいしいカステラにお料理して森中の動物たちみんなで食べるというお話。子どもの生活感を見事に捕らえ夢を膨らませてくれるこの絵本は子どもたちに喜びのなかで受け入れられぐりとぐらは子どもたちの親しい仲間になりました。
そのぐりとぐらが「おきゃくさま」では森の自分たちの家にやってきたサンタクロースのおじいさんから、手作りのクリスマスケーキをプレゼントしてもらい、その大きなケーキをともだちとおなかいっぱい食べ、歌ったり踊ったりしながらパーティをしました、というお話です。。シンプルなお話ではありますが、ぐりとぐらがサンタクロースのおじいさんに出会うまでの運びも、子どもの心を裏切らないサンタクロースのおじいさんのやさしいイメージも大好きなクリスマスケーキの大きさも、子どもの心情を知り尽くした話の展開です。
また赤と白と青を中心としたそれまでの画面から最後のパーティではさまざまな華やかな色にあふれ幸福感、安心感そして満腹感まで与えてくれます。
読み終わった時、子どもの心は楽しさで満ちあふれることでしょう。
のねずみの小さな世界が子どもたちの心や生活に大きな存在感をもって広がっていくこの絵本、クリスマスのあたたかさや喜びを感覚として育ててくれると思います。
姉妹であるの作者の素晴らしいコンビネーションが生んだこの作品、子どもの心を引き上げていってくれる品格のある絵本だと思います。