そらまめくんのベッド

なかや みわ さく・え
福音館書店
雲のようにフワフワで綿のようにやわらかいベッドはそらまめくんの宝物。
えだまめくんやグリンピースの兄弟やさやえんどうさん、ピーナッツくんが「そのベッドにねてみたい」といってもだれにも使わせようとはしません。
ところが、その宝物のベッドがある日、なくなってしまったのです。
捜し回りましたがどこにもありません。仲間のみんなにきいても「しらないよ。ぼくたちにかしてくれなかったバチさ」といいました。
でも、みんなはそらまめくんがだんだんかわいそうになってきて、自分のベッドをかしてあげようとしましたが、そらまめくんにぴったりのものはありません。
ところが何日もたったある日、そらまめくんは見つけたのです。うずらがそらまめくんのベッドで卵をあたためているのを。
そらまめくんは近くで様子を見ることにしました。
そしてある日「やったー。たまごがかえったぞ。ぼくのふわふわベッドでひよこがうまれたー!」そらまめくんは大得意。
うれしそうに自分のベッドを持って帰ったそらまめくんは、みんなと一緒にパーティをしました。そして自慢のベッドにみんなを招待してぐっすりと眠りました。
☆「そらまめくん」シリーズの第一作目です。
宝物のベッドがご自慢のそらまめくん。そのベッドが突然なくなってしまいました。
やっと捜し当てると、ベッドの上でうずらのおかあさんが卵を抱いていました。自分の大事なベッドより、卵がどうなるかが心配になっていくそらまめくん。見守っているうちにやっとひよこが生まれて大喜び。そのうれしい思いが、他の仲間との関係を修復していきます。仲間たちのそらまめくんへの気持ちの変化もあたたかく描かれています。
豆たちを通して、子どもの正直な気持ちのひだを温かい目をもって描いている作品だと思います。
子どもたちはシリーズの「そらまめくんとめだかのこ」「そらまめくんとながいながいまめ」のものがたりも大好きです。そらまめくんと周りの仲間とのやりとりや、奇想天外なストーリーが子どもたちの興味関心をそそります。子どもたちにとって身近かにある小さな豆たちの展開するミクロの世界はちょうど身丈に合っていて入り込みやすいのではないかと思います。絵も素朴で親しみのもてるやさしい感じがします。
子どもたちの中にはお豆の嫌いな子どももいますが、この本を見て、親しみを感じた子どもたちも少なくありません。先日、年中児のお母様がたくさんのグリンピースを持ってきてくださいました。遠くのご実家から送っていただいたということで「冷凍ではない生のグリンピースをぜひ食べさせてあげてください。子どもたちにサヤをむかせてもらえたらもっと「そらまめくんの絵本」が好きになると思うんですけれど」ということでした。
早速年中組の子どもたちがサヤをむいて、グリンピースの豆を出し塩ゆでしてみんなと分け合って食べてみました。豆が嫌いといっていた子どもたちも、「これはおいしいね」といって喜んで食べました。そして、サヤは長く糸を通して部屋の壁に飾りました。
このお母様がおっしゃっていたように、「そらまめくん」がより身近かになった子どもたち、ますますこの絵本が好きになったようです。