だるまちゃんとかみなりちゃん

加古里子さく/え
福音館書店
だるまちゃんが そとに あそびに いこうとしたら あめが ふってきました。
かさを さして でたら へんなものが おちてきました。 そして-
ぴか ぴか ごろ ごろ がら がら どしん -と ちいさな かみなりちゃんが おちてきました。
おちてきた かみなりちゃんは えん えん あん あん なきました。
だるまちゃんが なぐさめると かみなりちゃんは へんな まるいものを とってほしいと いいました。 そこで-
だるまちゃんは えい やっ! と とびはねました。
うんと とおくから かけてきて うんとこさ! と とびあがりました。
かさを もって ぴょんとこさ! と はねあがりました。
しかし どうしても とどきません。
そこで だるまちゃんの かたのうえに かみなりちゃんを のせて せいのびしてみました。
まだ まだ とどきません。
どうしたら よいだろう? と だるまちゃんも かみなりちゃんも かんがえました。
かんがえ かんがえ かんがえているうち-
だるまちゃんは いいことに きがつきました。
だるまちゃんは ねらいを さだめて かさを- ひょう! と なげました。
だるまちゃんの ねらいのとおり-
かさは あたって-
ぶらさがって しまいました。
だるまちゃんも かみなりちゃんも こまって かなしくなって べそを かいていました。
…
☆加古里子さんのだるまちゃんシリーズの一冊です。絵もお話もわかりやすくおもしろく、言葉のテンポもいいので加古さんの絵本を親子でお好きな方も多いのではないでしょうか。
加古さんは東大工学部を卒業されている工学博士なのですが、たとえばかみなりちゃんが落ちてきた時にだるまちゃんは絶縁体として長靴を履いていたり、木にひっかかった浮き輪をとろうと傘を弧を描いて投げてみる作戦を実行したり、だるまちゃんがかみなりちゃんと雲の上の世界に行くとそこは近未来的な世界であったり、と工学を学ばれただけあって、科学的な要素がそこかしこにちりばめられています。
ですが「だるまちゃんシリーズ」は科学絵本という訳でもありません。あくまでそれは絵本を楽しく読ませる一要素としてエッセンスにはなっていますが、重要な絵本のおかしみ、お話のおもしろさは、おそらくは加古さんの生来の人間性が絵にも文にも現れているためにこの絵本が楽しく多くの方に親しまれているのでしょう。
一度読んで絵本そのものを楽しんだ後、次は絵や文の細かい部分にも注目して読んでみると親子で楽しい会話がさらに広がると思います。