ピッキーとポッキー
ぶん・あらしやま こうざぶろう
え・あんざい みずまる
福音館書店
朝、うさぎのピーッキーとポッキーが楠の木の根っこのお家で目を覚ましました。
今日はお花見にでかける日です。
お隣のもぐらのふうちゃんにも声をかけ3人でお弁当を作りました。
そのおいしそうなこと。いっぱいいっぱい作りました。
さぁ 出発!
菜の花畑を通り、れんげ畑でお花摘みをし、川を飛び越えたあたりで、もうふうちゃんはお腹がすいて、おむすびをばくりと食べていると、近くの土がむくむくとあいて、桜山に住んでいるふうちゃんのおばあちゃんが顔を出しました。
「そろそろ来るころだと思って待っていましたよ」と迎えてくれたおばあちゃんと一緒にトンネルを抜け、階段を上がると・・・・・。
まあ、見事な桜の花の下に友達がいっぱい集まって3人を待っていました。
ごちそうもいっぱい。
さぁ、みんなでお花見の始まりです。
…
☆ようやく春がきた!という喜びを感じさせてくれる一冊です。
シンプルなお話ではありますが、ことばのリズムや話のほのぼのとした温かさ、それに一ページごとに展開する絵の鮮やかな色彩が見事にあいまって、いつまでも楽しく印象に残る絵本です。ことばと絵がそれぞれの役目をきちんと果たしながらそれを互いに何倍にも膨らませ合って魅力的なものにしているように感じられます。
話の展開も新鮮で楽しく、子どもが好きになる要素がすべて備えられているものになっています。
信州の冬は長い上に、特に今年は大雪が降り、春が来るのをことさら待ちこがれるなかで、春の色や香り、あたたかさと明るさを思い描くとき、不思議にこのピッキーとポッキーの桜の下の華やかなピンクとおいしそうなお弁当が思い浮かんできました。
春がやってきた4月、思いきりその香りを吸い込み、色を吸収して喜びたいと思います。
この子どもが大好きな絵の作者、安西水丸さんは2014年3月19日にお亡くなりになりました。去年11月には、嵐山光三郎さんと「ピッキーとポッキーのはいくえほん」を出版されたばかりでしたので、読者としてはたいへん衝撃でした。
ユーモアとやさしさにみちたお二人の新刊絵本はもう見られなくなりましたが、読者の中にはいつまでも弾むような楽しいピッキーとポッキーのお話が躍動し続けることと思います。