あつい あつい


垂石眞子 さく
福音館書店

 

あつい あつい

どこかに すずしいところは ないかな

ひかげだ ひかげだ ああ すずしい

だれ!

ぼくの ひかげで すずんでいるのは

ぼくだって あついんだよ

すずしいところを さがそうよ

ひかげだ ひかげだ

ああ すずしい

だあれ!

あたしの ひかげで すずんでいるのは

あたしだって あついのよ

すずしいところを さがしましょう

ひかげだ ひかげだ

ああ すずしい

だれだ!

わしの ひかげで すずんでいるのは

わしだって あつくて あつくて たまらんよ

どこかに すずしいところは ないかなあ

ん? なにか おとが きこえるぞ

ザザザ…

ピシャピシャ…

うみだ!

ざっぶーん!

すずしーい

☆あついあついと口をついて出る8月ですね。
この絵本は表紙から始まって背景はずっと真っ黄色です。
じりじりと焼きつくような太陽に照らされて熱くなっている地面。
そしてその中をだらだらと汗をかきながら、ペンギン、アザラシ、カバ、ゾウたちが涼を求めてひかげを探して歩きます。
読んでいるこちらまで「あついあつい」と言いたくなるような中、
最後に真っ青な海と空、白い波間と雲が現れます!
その爽快感!
動物たちと一緒になって海に飛び込んだような気持ちで、思わずこちらもニンマリ。
そんないかにも夏らしいお話が、テンポの良い語り口とマンガチックな表情の動物たち、次のページに何が出てくるのかなというワクワク感で、とても軽快な絵本になっています。
また、テンポが良く短いということもあるのでしょうか、「もう一回読んで」と子どもに言われることも多い絵本です。
夏の海に飛び込むような気持ちで、子どもと一緒に何度でも楽しみながら読んであげてほしい一冊です。

幼稚園の庭には小さな森があります。森の中はたくさんのひかげでやはり涼しくて、子どもたちはそこで楽しく遊んでいます。
プールの水の中の涼しさとはまた違う気持ちよさを体いっぱいで感じています。
ひかげも、水も、それぞれにまた違った涼味と言えるでしょう。
暑い中だからこそ、みなさんもいろいろな涼しさを見つけてみてはいかがでしょう。

2020年08月20日